人財戦略(働き方改革・ダイバーシティの推進)

当社は、従業員を価値創造の源泉である「人的資本」と位置付けており、「地域に根ざしたソリューションビジネスを支える多様な人財」を有するという強みを磨くことで経済価値および社会価値の創造をめざしています。また、従業員は重要な「ステークホルダー」であり、経営理念では「従業員が誇りを持って働ける魅力ある会社であり続ける」ことを掲げています。

このような考えのもと、お客さま・地域社会のニーズの多様化・高度化や、従業員の就業意識・ライフスタイルの変化が加速度的に進展している中で、当社は、従業員一人ひとりの能力を高めるとともに、多様な人財が持てる能力を最大限に発揮しうる生産性の高い組織の構築を進めています。

新中期経営計画では、長期的にめざす姿である「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」に向けて、人づくりの強化やキャリアオーナーシップの浸透により「人財ポートフォリオ改革」を進めるとともに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進や安心して働ける職場づくりをとおして「エンゲージメント向上」に取り組んでいきます。こうした取り組みを着実に進めるうえで、子銀行を含めた経営陣が積極的に関与することが重要であり、経営戦略と連動した人財戦略を実践することで、持続的な企業価値向上を実現していきます。

人づくりの強化

当社は、ОJTを基本としつつ、研修(OFF-JT)や自己啓発の支援、本人の持つ能力を最大限に発揮できる人財配置を組み合わせることで効果的な人財育成を実践するとともに、めざす人財ポートフォリオの構築に向け、ソリューション能力の高い人財や専門性の高い人財などを育成するため、人財育成投資を強化していきます。また、従業員一人ひとりの働きがいやモチベーションを高め、多様な人財の活躍を後押しするため、公平・公正な評価・処遇制度を整備しています。

人財育成の強化

戦略的な人財配置と人財育成

当社では、従業員一人ひとりのスキルや知識、適性や本人のキャリアデザインといった情報を踏まえた戦略的なジョブローテーションや人事異動をおこなうことで、効果的なОJTにつなげるとともに、研修などのОFF-JTと連動した人財育成をおこなっています。横浜銀行では、これらの情報を一元管理するツールとして、タレントマネジメントシステムを導入しています。

研修実施とフォロー体制

研修は階層別からスキルレベル別まで多様なメニューを用意しており、実施後のフォローをおこないながら、原則6か月でスキルレベルの引き上げをめざすプログラムとしています。
なお、各所属での配置およびOJTとの連動が重要であるため、フォロー期間中は、関連各部と人財部が連携し本支店一体となったフォローアップをおこなうことで着実なスキルレベルの引き上げをめざしています。

ソリューション能力の高い人財の育成

「ソリューション・カンパニー」への転換に向けて、実効的な研修体系の構築に加え、研修費用や資格取得推奨のための支援金など、研修および自己啓発による人財育成への投資を強化しています。

研修体系では、上位レベルの研修では外部講師を活用した実践型の提案演習を取り入れることで提案力強化をはかり、基礎レベルの研修では実際の案件に1人で対応できるレベルをめざし、ニーズ発掘から社内稟議、契約手続きまでを一気通貫で学ぶことができる実践型の内容を取り入れています。

自己啓発では、高度な公的資格の取得を支援するために、従来取り組んでいる資格取得時の支援金を拡充したほか、キャリア開発応援金(資格取得のための資格学校等への通学費用の一部負担)や、資格取得定額支援金(資格取得後に一定額を継続支給)の仕組みを新たに導入し、一人ひとりの自発的な挑戦・成長を支援しています。

マネジメント層・次世代リーダーの育成

今後のキャリア形成について主体的に考えるきっかけを与えることを目的として、年次や階層に応じてキャリアデザインやマネジメントに関する各種研修をおこなっています。横浜銀行では将来のトップマネジメント層、その先の役員候補となる人財のサクセッションプランとして、「次世代経営リーダー育成プログラム」を実施しています。対象者には、外部研修機関によるアセスメントや、「マネジメント力」「戦略理解力」「巻き込む力」などをテーマとしたタフアサインメントを実施し、候補者プールの拡大と登用管理をおこなっています。また、東日本銀行では各階層別に次世代経営リーダーを育成するサクセッションプランを実施しています。

専門領域による活躍機会

専門人財の採用

横浜銀行では新卒採用において、デジタル・IT技術といった専門知識を活かし活躍できるよう、営業店への配属に限定せず、本部のデジタル戦略部門やICT推進部門でキャリアをスタートできる専門コースを2021年度(2022年度入行)に新設し、2022年4月には6人を採用しました。また専門性の高い人財の中途採用を積極的におこなっており、2021年度はデジタル・ICTなどの分野において、16人を採用しました。

プロ人財制度

横浜銀行では、2019年度より高い専門性を有する「プロ人財制度」の運用をおこなっており、多様な価値観・キャリア観を持った人財が増えている中で、自身の強みを活かして専門分野における「プロ人財」として活躍するキャリアパスや処遇体系を示し専門人財を強化・育成する基盤を整えています。また、通常の給与体系より業績貢献に対するインセンティブが効いた報酬体系にしており、その水準は一人ひとりの専門性の高さやパフォーマンスの発揮状況等に応じて個別に決定しているため、処遇水準が役員や部長クラスになることもあります。プロ人財認定者は累計で10人となりました。

評価・処遇制度

評価制度

当社では、従業員一人ひとりのモチベーション向上と組織の活性化をはかるとともに、従業員一人ひとりのキャリアビジョンの実現をバックアップし人財育成・能力開発をはかるための仕組みとして人財評価制度を導入しています。人財評価制度は、個人面接を通じた「目標設定」「実績評価」「フィードバック」という年次の「目標による管理(MBO:Management By Objective)」を基本とする一連のフローであり、業績評価や賞与評価といった短期的な評価から、異動・昇格・昇進といった中長期的な評価に至るまで、個々人の能力の発現に向けて実施・運用されている評価制度です。

処遇制度

当社は、年功的・属人的要素によらない、公平・公正な処遇をおこなっています。具体的には、職務の難易度や範囲、役割などに基づく職責の重さや、業績貢献度に応じたメリハリある処遇をおこない、「脱年次」による実力主義を徹底することで、一人ひとりの挑戦意欲や成長意欲を高めるとともに、多様な人財の活躍を後押ししています。また、福利厚生制度や成長機会については、パートタイマーを含むすべての従業員へ同様に提供しており、賃金については各国の最低賃金や同一労働同一賃金に関する法令を遵守しています。

キャリアオーナーシップの浸透

従業員一人ひとりが自らのキャリアを主体的に考え、自律的にキャリアデザインを描き、行動する風土を醸成していく「キャリアオーナーシップの浸透」を推し進めています。上司と部下の1on1ミーティングによる定期的な面談をベースに、OJT、研修、公募制度や自己啓発などを組み合わせることにより、なりたい自分に向けたキャリア形成を支援していきます。

キャリア形成

公募制度(内外企業派遣・海外MBA取得)

従業員の自己啓発意欲を高め、主体的なキャリア形成の機会を提供するため、若手従業員から管理役職者まで、キャリアステージを問わずに応募できる公募制度を整えています。公募には「本部トレーニー」と「外部派遣」の2つがあり、「本部トレーニー」は市場営業部や融資部、デジタル戦略部、営業戦略部などの部署が中心です。「外部派遣」の実績としては、グループ企業や金融機関、行政機関、中央省庁などがあり、海外MBA取得のための留学派遣も実施しています。

リスキリング(能力開発・教育)

キャリアオーナーシップの考え方に基づき“なりたい自分”への自発的な挑戦を積極的に支援し、自身の現在のスキルと、必要とされるスキルのギャップに適応するための「リスキリング」を推し進めており、リスキリング対象者向けに行内公募や各種研修を実施するとともに、店頭オペレーション改革等を踏まえた新たなポスト開発をおこなっています。2021年度は、事務部門を中心に129人の応募があり、うち68人が営業部門や本部など新しい職務にチャレンジしています。

  • 若手従業員の外部出向実績(2022年4月1日時点):40人
  • リスキリングの実績(2021年度):行内公募の応募者数129人、登用者数68人

キャリア・イノベーション支援制度(兼業・副業)

横浜銀行では、外部環境の変化や従業員の就業意識の変化を踏まえ、2021年10月に「キャリア・イノベーション支援制度」を導入し、現業務では経験できない多様なキャリアを社外で積む機会を拡充し、従業員の主体的なキャリア形成を支援しています。兼業・副業の実施にあたっては、自己成長や本業または地域への貢献に資する点や、本業での労務提供に支障がないなどリスク管理面での一定要件に沿ったものを対象としています。

キャリア相談窓口

従業員の自律的なキャリア形成の促進・支援を目的として「キャリア相談窓口」を設置しています。従業員のキャリア開発やキャリアパスに関する相談などを受け付けています。

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

当社は、マテリアリティの1つに「働き方改革・ダイバーシティ推進」を掲げ経営層の関与のもと、全従業員を対象に、ダイバーシティを推進することの理解を促進する研修や、アンコンシャスバイアスに関する研修を実施し、多様な従業員が活躍できる職場環境の整備をおこなっています。

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンポリシー

コンコルディア・フィナンシャルグループは、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を推進することで、多様な考え方や価値観を有する従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、新たな価値を生み出すことにより、持続的な企業価値の向上を実現します。

多様な人財の活躍支援

女性活躍推進

当社は、女性活躍推進を重要な経営戦略と捉え、経営会議の場において、女性活躍推進に関する議論を積極的におこなっています。行動計画に基づく、経営層・管理職層の育成を目的とする女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、管理職候補人財を早い段階から発掘し、登用を見据えたキャリア形成支援に資する階層別の研修や、社外取締役との座談会をおこなうなど、女性のキャリア向上のためのポジティブ・アクションを実施しています。なお、ライフイベント等により一時的に業務に制限がかかる従業員についても、能力に応じた公平な登用をおこなっています。
横浜銀行、東日本銀行合算の目標(2022年度末時点)
管理役職者に占める女性の割合:18%以上(2022年4月1日時点 15.3%)
役職者に占める女性の割合:33%以上(2022年4月1日時点 34.2%)

海外拠点の現地採用・外国籍人財の管理役職者登用

海外拠点では、地域の習慣やニーズに精通する人財の現地採用を積極的に推進しています。また、労働時間や賃金等に関する労働基準については英語や中国語といった海外拠点の使用言語に翻訳し、全従業員への伝達をおこなっています。
なお、当社グループの海外戦略等に応じて積極的に外国籍人財の登用をおこなっており、2022年4月1日時点の外国籍の管理役職者数は9人です。

障がい者雇用

2019年4月に「株式会社はまぎんビジネスチャレンジド」を開業し、障がい者の自立を支援し、共生社会の実現をめざしています。なお、2020年4月に特例子会社としての認定を、2021年5月には特例子会社の関係会社特例認定(特例子会社の範囲に㈱浜銀総合研究所、浜銀ファイナンス(株)、浜銀TT証券(株)を追加)を取得しました。横浜銀行の2021年度障がい者雇用率は2.3%となっています。

人権尊重

グループ人権方針

コンコルディア・フィナンシャルグループは、グループ人権方針を定め、お客さま・従業員をはじめ、あらゆるステークホルダーの基本的人権を尊重する取り組みを進めています。人権に関する正しい知識と理解を深めるための人権啓発研修を実施しているほか、人権啓発に関する標語を募集して優秀作品の表彰を実施するなど従業員の人権意識向上に取り組んでいます。

LGBTQ

性的少数者(LGBTQ)への理解促進をはかるため、eラーニングによる研修や本部役員向け勉強会、休日セミナーを実施し、ALLY(アライ)を増やすための啓発活動の一環として社内SNS等でコミュニティを開設しているほか、希望する従業員に啓発シール(ALLYシール)を配布しています。
また、横浜銀行本店ビル内に「男女共用トイレ」を設置しているほか、休暇や支給金等の福利厚生制度について従業員の「配偶者」の範囲に事実婚・同性婚の相手方を含めるなど、従業員の多様な家族の在り方を尊重するための取り組みを加速させています。

ハラスメント相談窓口・内部通報制度(ホットライン)

当社は、就業規則においてあらゆるハラスメントの禁止について明文化し、全従業員を対象としたハラスメント防止の研修ならびに、管理職を対象としたハラスメントの報告を受けた際の対処についての研修を実施し、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、SOGI(ソジ)ハラスメント等に関する相談窓口として、社内外の「ハラスメント相談窓口」の設置ならびに内部通報制度(ホットライン)の構築をしています。また、従業員が育児や介護と仕事の両立、自身や周囲のSOGIに関する事項等、ダイバーシティ&インクルージョン推進に資する事項の全般について相談可能な窓口も別途設置し、職場環境の整備をおこなっています。なお、相談内容については守秘義務を担保し、相談者および関係者のプライバシーについても保護される体制を整えています。

グループ人権方針やダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンポリシーに基づき、人種、性別、宗教、性的指向や性自認、障がいの有無等に関わらず、相互の理解と尊重に努め、健やかで働きがいのある経営環境を実現していきます。

安心して働ける職場

当社では、経営理念である「従業員が誇りを持って働ける魅力ある会社であり続けます。」に基づき、従業員のライフスタイル・ライフステージに応じた柔軟で効率的な働き方や健康に対する取り組みを、サステナビリティ戦略の一環として経営戦略に位置付けて推進しています。

効率的な働き方

働き方改革~はまぎんスタイル、東日本NewStyle~

フレックスタイム制、時間単位年休、テレワーク勤務制度、サテライトオフィス等を導入するとともに、デジタル化への取り組みを強化し、時間や場所に捉われない多様で効率的な働き方を推進しています。また、柔軟な働き方の推進とともに、総労働時間の見える化や勤務間インターバル制度の導入、業務の効率化による労働時間の削減や、制度休暇をはじめとする有給休暇の取得促進に資するリフレッシュマンスの実施等、意識改革の取り組みを強化しています。

安心して働ける職場

育休産休者向け教育制度

育児等のライフイベントにより、時間に制約のある従業員の活躍機会の増大および時短勤務制度・時差勤務制度といった柔軟な勤務制度の充実ならびにフルタイム支援(横浜銀行の託児費用補助制度等)をおこなっています。2022年度には、標準の支援制度に加えて、休業中の自己学習を支援する「産育休復職支援プログラム」を導入しました。

家庭と仕事の両立支援(男性育休含む)

男性の育児休業・配偶者出産時の特別休暇・子の学校行事等の際に取得可能なワークライフバランス支援休暇の取得についても推奨し、性別を問わない育児参画を促しています。また、全従業員を対象とした「男性の育児参画」「介護離職防止対策」を目的とした研修・休日セミナーの実施や、介護に関するガイドブックの制定、ビデオコンテンツの導入等、啓発活動にも積極的に取り組んでいます。また、横浜銀行では、育児や介護等を理由に退職した従業員を一定の要件を満たす場合に再雇用するジョブ・リターン制度も設けています。

健康経営

従業員に対する健康管理の取り組みを通じてパートタイマーを含むすべての従業員が能力を十分に発揮できるよう、当社グループでは「横浜銀行健康宣言」「東日本銀行健康宣言」をそれぞれ策定しています。健康経営を実践するための「健康経営推進連絡会」を各部横断で立ち上げ、本店内への健康管理センターの設置や産業医による長時間労働者への個別面接の実施、事業所敷地内完全禁煙の実施、ウォーキングイベント開催など、従業員の健康の保持・増進のためにさまざまな取り組みをおこなっており、経済産業省および日本健康会議が策定する「健康経営優良法人認定制度」の大規模法人部門において横浜銀行では「健康経営優良法人2022~ホワイト500~」、東日本銀行では「健康経営優良法人2022」にそれぞれ認定されました。

従業員意識調査

従業員一人ひとりの意識を的確に捉えることで、組織の現状、強み・課題を明確に把握・診断し、一人ひとりの働きがいやエンゲージメント向上をはじめとする今後の経営諸施策に活かしていくことを目的に、従業員意識調査を毎年実施しています。

  • 企業の総合的魅力の指数:2021年度3.29 ※5段階評価(5が最高値)、2行の加重平均

資産形成支援

従業員の計画的な資産形成支援や経営参画意識を醸成するため、コンコルディア・フィナンシャルグループ、横浜銀行、東日本銀行の全従業員を対象に、「従業員持株制度」を導入し、積立額に応じた奨励金を支給しています。