地球温暖化・気候変動対策(TCFD提言への取り組み)

コンコルディア・フィナンシャルグループは、地球温暖化・気候変動への対応を優先的に取り組むべき重要な課題であると考えており、2019年12月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に賛同しています。当社は気候変動に関する情報開示の重要性を認識し、TCFD提言の開示フレームワークに基づき、情報開示を充実させていきます。

  • TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):2015年12月に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候関連情報開示を企業へ促す民間主導のタスクフォース。

ガバナンス

サステナビリティ推進体制

当社では、社長を委員長とするグループサステナビリティ委員会において、地球温暖化・気候変動を含むサステナビリティに関する取組方針やアクションプラン等を審議し、その進捗状況についても報告しています。
グループサステナビリティ委員会の審議内容は、取締役会において、3か月に1回程度、報告・審議され、取締役会が気候変動に係る取り組みについて監督しています。報告・審議結果に基づく気候変動関連のリスクや機会等は事業戦略に反映しています。

取締役会における報告・審議事項(2021年度)

  1. 自社カーボンニュートラル
    達成時期の2050年度から2030年度への前倒し、横浜銀行の自社契約電力(有人店舗)の実質再エネ切り替え
  2. サステナビリティの取組状況
    TCFD開示、炭素関連資産の状況、シナリオ分析の検討
  3. サステナビリティ戦略
    マテリアリティ別の取組方針、組織体制の強化
  4. 気候変動に関するリスク
    「大規模な自然災害の発生」と「脱炭素社会への移行」のトップリスクへの選定

また、2022年4月より企画部門、営業部門を中心に専門部署の設置等をおこない、全社的なサステナビリティへの取り組みを強化しています。

外部有識者の招聘

2022年度よりサステナビリティ分野の外部有識者をグループサステナビリティ委員会の外部委員として招聘しています。グループサステナビリティ委員会における定期的な意見交換等を通じて、社外の専門的な知見をサステナビリティの取り組みに活用しています。

外部有識者 深井 恒太朗氏

野村総合研究所
サステナビリティ事業コンサルティング部
チーフコンサルタント

役員報酬にESG要素を反映

地域社会の課題解決に向けたサステナビリティ経営の確立やガバナンスの高度化に取り組み、経営基盤の強化をはかっていきます。こうした取り組みの実現に向けて、中期経営計画(2022年度~2024年度)における株式報酬(信託Ⅱ)の業績連動係数を決定するための判定対象にESG外部評価指標を加えました。最終的な業績連動係数は、中期経営計画の業績目標の達成度を評価する指標(目標指標)を判定対象とした財務指標に基づく業績連動係数にESG外部評価指標、自社のCO2排出量削減率等の中期経営計画の非財務項目への取組事項や定性事項を踏まえ、報酬・人事委員会の審議を経たうえで決定します。なお、ESG外部評価指標等が組み込まれた役員報酬の支給対象は社長を含む取締役(社外取締役を除く)および執行役員となります。

戦略

1 リスク

気候変動に関するリスク

当社の気候変動に関するリスクは以下の通りです。

シナリオ分析の実施

今年度はTCFD提言に基づき一定のシナリオのもと、移行リスク、物理的リスクについてシナリオ分析を実施しました。
物理的リスクについては、当社営業地盤において、昨今の河川氾濫等の影響を勘案し、洪水災害を分析対象としています。また脱炭素社会への移行において、まずはグループ全体を分析対象としてスクリーニング評価をおこない、GHG排出量が大きく、気候変動の影響を受けやすい電力セクターならびに自動車セクターを分析対象としています。
なお分析手法については、今後も継続的に見直しをおこない精緻化に努めていきます。

シナリオ分析の結果

今回の分析対象および適用したシナリオや前提のもとで、与信関係費用が、移行リスクは累計90億円~170億円、物理的リスクは30億円~70億円となり、いずれも当社の投融資ポートフォリオへの影響は限定的であるとの結果になりました。
引き続き、対象セクターの拡大やシナリオ分析の高度化等に取り組んでいきます。

炭素関連資産

2020年度に開示した炭素関連業種(エネルギーおよびユーティリティセクター)の与信残高※1について、2021年度の貸出金におけるシェアは0.6%と、引き続き限定的となりました。

2021年におけるTCFD改定を踏まえた、不動産賃貸業等を含む新たな炭素関連資産※2の貸出金残高※3シェアは、39.8%です。
なお当社では、移行リスクによる内部指標(個社の財務内容影響度合い等)と、外部指標を使用した多面的な分析をおこない、業種ごとにリスクグレーディングを実施しました。※2

その結果、当社においては、エネルギー、ユーティリティセクターに加えて、「鉄鋼業」、「窯業・土石業」、「パルプ・紙業」、「繊維業」、「非鉄金属業」について、気候変動リスクの影響が大きいことを認識し、当該業種を管理すべき炭素関連セクターとしました。
当該セクターの2021年度の貸出金に占める与信残高シェアは2.5%となります。今後は当該セクターに対して、お客さまとのエンゲージメントを進めていきます。また、気候変動の影響について分析の高度化をはかり、リスク管理をおこなっていきます。

  • ※1
    与信残高は貸出金、外国為替、支払承諾、コミットメントライン等の空き枠も含めた合計になります。
  • ※2
    TCFD提言における対象業種はGICS(世界産業分類)における業種分類を推奨していますが、当社では日銀業種分類に当てはめて集計しているため、差異が生じる場合があります。
  • ※3
    貸出金残高は貸出金、支払承諾等を含み、コミットメントライン等の空き枠は含みません。

2 機会

脱炭素社会への移行に伴い、資金需要の拡大や事業再編が見込まれるほか、新たな金融商品・サービスも生まれるなど、金融機関にとってはファイナンスやサービスの提供機会が増大しています。

当社は、2020年に公表したサステナビリティ長期KPI「2030年度までにサステナブルファイナンス実行額を2兆円、うちグリーンファイナンス1兆円」の達成に向けてお客さまとともに気候変動リスクの低減に取り組んでいます。

脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギーなど気候変動の緩和に貢献する事業へのファイナンスだけでなく、お客さまの脱炭素への取り組みフェーズに合わせたソリューションを提供し、サステナビリティ分野でのお客さまの課題解決に努めています。

「SDGs事業性評価」によるエンゲージメント

お客さまのサステナビリティ経営を支援するため、2021年10月に「SDGs事業性評価」を開始し、お客さまとの対話を推進しています。これは国内で初めての取り組みで、2022年3月までに約150社に対して実施しました。「SDGs事業性評価」を通じて、お客さまの取組状況を把握し、最適なソリューションの提供に取り組んでいきます。

  • 財務データに依存せず、お客さまの事業内容や成長可能性などを評価する「事業性評価」に、SDGsに関する項目を加えてスコアリングする取り組みです。

移行リスクを踏まえたエンゲージメント

シナリオ分析による気候変動の影響把握の取り組み

当社の投融資ポートフォリオのうち、自動車製造に関連する事業への投融資が大きな割合を占めることから、移行リスクを含めた気候変動に関連する影響を把握するため、シナリオ分析を実施しました。分析にあたっては、グループ内外の知見を活用して取り組んでいます。
すべての車のEV化により、部品数の減少による売上減少と他業種などからの新規参入による価格競争の激化が同時に起こるという一定の厳しいシナリオのもと、お客さまの売上高や利益率に対する影響を分析したところ、多くの部品メーカーに厳しい影響が及ぶという結果となりました。

自動車サプライヤーとのエンゲージメント

シナリオ分析を踏まえて、内燃機関を製造する複数の一次下請企業の経営層に対し、横浜銀行の営業部門担当役員が、EV化に対する認識や課題、対応状況等についてヒアリングをおこない、今後の自動車業界の見通しと必要な対応に関する問題意識の共有、取り組みの検討を実施しました。

今回エンゲージメントを実施した自動車サプライヤーでは、EV化への認識や危機感を高く持っており、社内で対応を進めるとともに、自社の技術を活用した新事業のビジネス化も志向しています。
完成車メーカーやメガサプライヤーの影響を強く受けるため、EV化の認識度は相応にありましたが、OEMを軸にした対応やEV化戦略における具体的な動きは各社において大きな開きがあることも課題として判明しました。

また、CASE(特に「EV化」)におけるキープレイヤーは、OEMを軸にした縦構造ではなく、今後システム周りに強い会社が中心となることも想定されるため、サプライヤー各社は多面的な接点が求められる可能性があり、金融機関としては今まで以上に情報提供やソリューション提供が求められています。

今後もこうしたエンゲージメントを継続することで、移行リスクなど、お客さまの気候変動に関する影響低減のための支援に取り組んでいきます。

  • CASE:自動車のIoT、自動運転、カーシェア、電気自動車といった新しい領域での技術革新。

社内研修等

TCFDやESG関連などのサステナビリティに関する取り組みについては、全従業員を対象としたeラーニング等による社内研修を実施し、理解を深めています。また、当社社長を含む役員に対しても、外部講師を招いた勉強会を実施するほか、全従業員に動画を配信し、組織全体の知識レベルの向上をはかっています。

地域脱炭素プラットフォーム

神奈川県内の地方公共団体(以下「地公体」)とともに「地域脱炭素プラットフォーム」を設立しました。本プラットフォームは、地域脱炭素推進に向けた地公体の脱炭素担当者のネットワーク構築、情報交換の場を提供するほか、脱炭素先行地域をはじめとした県内外の事例、最新技術の紹介などを通じて、地公体が抱える脱炭素課題の解決をはかり、神奈川県全域の脱炭素の取り組みを支援・推進していきます。

小田原市のインパクト評価

横浜銀行、小田原市、三井住友信託銀行、浜銀総合研究所が連携して、小田原市における地域マイクログリッドの構築等を通じたエネルギー地産地消を対象とするインパクト評価(事業が環境・社会・経済に及ぼす影響を測定・分析する手法)を実施しています。地公体と金融機関が連携協定を結び本格的なインパクト評価をおこなうのは国内初の取り組みです(詳細はP.76を参照)。

リスク管理

  • 気候変動に関するリスクについて、物理的リスク(大規模な自然災害の発生)に続き、移行リスク(脱炭素社会への移行)に関しても影響度と蓋然性を考慮のうえトップリスクとして認識しております。引き続き総合的リスク管理の枠組みで管理できる体制の構築に取り組んでいきます。
  • 気候変動リスクによる当社の貸出金への影響を踏まえた信用リスク、当社の有形固定資産にかかるリスク、オペレーショナルリスク等の管理態勢構築に取り組みます。
  • 環境・社会に負の影響を与える可能性の高い資金使途の投融資について、取組方針(セクターポリシー)を定め、環境・社会への影響を低減・回避するよう努めています。セクターポリシーを制定した2020年度以降、新たにセクターポリシーに該当する投融資はおこなっていません。

指標と目標

当社は、「地球温暖化・気候変動対策」に関するサステナビリティ長期KPIとしてサステナブルファイナンス、グリーンファイナンスおよびCO₂排出量削減目標を設定しています。

サステナブルファイナンス・グリーンファイナンスについて

2030年度までにサステナブルファイナンス2兆円、うちグリーンファイナンス1兆円の実行額目標を定めています。2021年度までの実績(累計)はサステナブルファイナンス1.5兆円、うちグリーンファイナンス0.4兆円です。

カーボンニュートラル目標の前倒しについて

2022年1月、当社はCO₂排出量削減の取り組みを一層推進していくため、自社のカーボンニュートラルの達成時期を2050年度から2030年度に前倒しました。また、2024年度までにCO₂排出量を2013年度比80%削減する目標も設定しました(対象:Scope1および2)。
今後も地域金融機関としてグループ一体となって、社会・環境課題の解決に資する取り組みをおこない、地域社会の持続的成長に貢献していきます。

自社契約電力の実質再生可能エネルギーへの切り替え

2022年5月、横浜銀行の全営業店および事務センターにおける自社契約電力(有人店舗のみ)を実質再生可能エネルギーに切り替えました。
今後は東日本銀行でも実質再生可能エネルギーの導入をおこない、グループとして自社の脱炭素への取り組みを推進していきます。

CO2排出量削減の実績(Scope1,2)

Scope3について

2021年度より算定対象にScope3カテゴリー1~14を追加しました。
なお、Scope3カテゴリー15(投融資)は、今後優先的に対応するセクターやGHG削減に向けた取り組みを検討し、開示の準備をしていきます。

第三者検証について

2021年度よりScope1,2,3について、一般財団法人日本品質保証機構による第三者検証を実施しています。今後も当社では環境データの信頼性向上に努めていきます。

国内外のイニシアチブへの賛同