地域経済の活性化

取組方針

当社グループは地域金融機関として、地域や社会の課題解決に主体的に取り組み、地域の魅力創出や地域経済の活性化に貢献することで当社も成長する「持続的な好循環」を実現したいと考えています。
こうした方針のもと、行政の地域ビジョン実現に向けた施策実行を支援するとともに、「まちをつくる」「ひとの流れをつくる」「しごとをつくる」など、地域や社会の課題解決に向けた取り組み(地域戦略推進活動)を進めています。地域のハブとしての役割を発揮し、産学官金連携の幅を広げ、地域社会の活性化と課題解決に向けた取り組みを強化しています。

地域戦略推進活動によってもたらすことが期待される社会的な効果について、引き続き可視化の検討を進めています。

地域戦略推進体制

横浜銀行では、地域のビジョンおよびその実現に向けた計画の策定などを担う「地域戦略統括部」を本部に配置し、営業エリアを3地区(本店、川崎、東京・県外)、4地域(東部、西部、南部、中部)に編成する地域本部体制を敷き、地域戦略推進活動の実効性を高めています。

本取組方針に基づき、地域戦略推進体制のもと、横浜銀行は地域社会の活性化と課題解決に取り組んでいます。その結果、当社の中期経営計画で掲げる「地域社会の課題解決への取組件数」の目標15件に対して、2022年度の実績が20件、2023年度の実績が23件となり、単年度目標を達成しました。

持続可能な「まちをつくる」取り組み

「さがみはらバイオガスパワー田名発電所」の開所支援

横浜銀行は、「SDGsグリーンローン」による資金協力をおこない、「さがみはらバイオガスパワー田名発電所」の開所を支援しました。
同発電所では、食品廃棄物などを原料に、メタン発酵によって発生させたバイオガスを燃料として発電をします。同発電所は、隣接するグループ会社と連動することで、地域の食品廃棄物などを受け入れて、「飼料化」「肥料化」「エネルギー化」することができる国内初のカスケード利用型リサイクル施設です。

「地域脱炭素プラットフォーム」を通じた官民連携

横浜銀行は、地域の脱炭素推進に貢献するため、2022年5月に神奈川県内の地方公共団体向けに「地域脱炭素プラットフォーム」を設立しました。本プラットフォームでは、各地公体が共通で抱える課題を抽出し、課題ごとに分科会を設定して案件組成に向けた検討や議論を進めてきました。2023年5月には、具体的案件として「EVカーシェアプロジェクト」が発足しました。

EVカーシェアプロジェクト

横浜銀行は、伊勢原市・ENEOS株式会社・浜銀ファイナンスと連携協定を締結し、2023年11月より、官民連携によるEVカーシェア事業を展開しています。EV車両を、平日に伊勢原市および横浜銀行が利用し、休日に地域住民や観光客に有料で開放しています。また当該車両は、災害時は「動く蓄電池」として避難所等で活用していきます。 (協力:伊勢原市、ENEOS株式会社、浜銀ファイナンス)

環境教育プロジェクト

脱炭素社会実現には、地域住民の参画が不可欠です。本プロジェクトでは、環境意識の高い子どもに着目し、子ども自らが課題解決に取り組む探求型学習プログラムを開発しました。家庭などで発生する廃食油を活用し製造される持続可能な航空燃料(SustainableAviation Fuel、SAF)を題材とし、官民連携による学習プログラムを実施していきます。
(協力:横浜市立西前小学校、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY、株式会社レボインターナショナル、 一般社団法人横浜青年会議所)

横浜市のPPPプラットフォーム参画

横浜銀行は、横浜市が市内企業等のPPP/PFI事業への参画促進や多様な民間事業者と連携した同事業への取り組みを目的として設立した「横浜PPPプラットフォーム(Yopp)」に運営事務局として参画し、2022年11月に第1回セミナー、2023年1月に第1回PPP勉強会を開催しました。事業者間のマッチングや資金協力などを通じて、本プラットフォームにおける活動を支援し、地域の課題解決や魅力づくりに取り組み、地域経済の持続的な成長・活性化に貢献していきます。

地域に「ひとの流れをつくる」取り組み

三浦市における地域資源を活用した観光活性化に向けた案件

横浜銀行は2021年3月に、ミウラトラスト株式会社、三浦市、地域経済活性化支援機構(REVIC)、京浜急行電鉄株式会社と「三浦市における地域資源を活用した観光活性化に関する連携協定」を締結し、三崎港を中心としたエリアの観光活性化を推進しています。
本連携協定に基づき、横浜銀行は同社に対して事業運営に関する支援や資金協力などをおこなうことで、「三崎宿 江戸の蔵宿」をはじめとする分散型ホテルの開業を支援しました。2023年9月には「三崎宿 葉山商店」をオープンし、以降5棟体制で稼働しています。
周辺のアクティビティとも連携して観光資源の活用を進め、三浦市を訪れる観光客の滞在時間の長期化や宿泊客数の増加をはかっています。

官民連携コンソーシアム参画を通じた子育て支援

横浜銀行は、2023年11月に、横浜市内のベンチャー企業を主幹事とする官民連携コンソーシアム「こどものみらい共創プラットフォーム」に参画し、こども専用相乗りタクシー送迎サービスの実証実験に協力しました。
本プラットフォームは、子育て世帯の社会進出・社会復帰を支援するため、習い事に通うこどもの保護者が抱える送迎負担を軽減する目的で設立されました。実証実験では、当行の金融教育プログラム「はまぎん おかねの教室」を車内放映したり、当行支店前に停留所を設置したりすることにより、実装化に向けた支援をおこないました。

神奈川県のキャッシュレス・消費喚起事業「かながわPay」への参加

横浜銀行は、神奈川県とともに取り組むキャッシュレス・消費喚起事業「かながわPay」を実施しました(第1弾:2021年10月、第2弾:2022年7月、第3弾:2023年7月)。本事業は県内加盟店での代金支払いの際、「かながわPay」を通じたQRコード決済額の最大20%の金額に相当するポイントを消費者に還元する取り組みです。横浜銀行は、共同企業体の代表機関として神奈川県より本事業の運営業務を受託し、スマホ決済サービス「はまPay」を提供する決済事業者として、キャッシュレス決済を促進しました。

「よこすかポートマーケット」のリニューアルオープンの実現に向けた支援

横浜銀行グループは、「よこすかポートマーケット」(以下「ポートマーケット」)のリニューアルオープンを支援しました。ポートマーケットには、三浦半島の食を楽しむ「三浦半島フードエクスペリエンス」をコンセプトに地元の生鮮食品を扱うレストランや土産物店などが出店しています。2013年に横須賀市の地産地消推進事業の一環としてスタートしたポートマーケットは、業績低迷により2019年に閉店しました。その後、横浜銀行グループは、浜銀総合研究所がリニューアルを検討していた場所を調査し、観光集客施設として再生するポテンシャルがあるエリアと評価したほか、横浜銀行がテナント誘致の支援に取り組むなどした結果、ポートマーケットは2022年10月にリニューアルオープンし、観光活性化を後押ししました。

宮ヶ瀬地区の観光活性化

横浜銀行は、2019年11月に清川村と「地域活性化に関する連携協定」を、2021年11月に株式会社コーエンと「サステナブルな地域活性化に向けた連携と協力に関する協定」を締結し、飲食業のお取引先の誘致やおかねの教室などのイベントの企画・実施をおこなってきました。2022年10月には、株式会社サンオータスと連携し、コーエン宮ヶ瀬店における電動キックボード貸出事業の導入を支援し、観光活性化をはかりました。

地域に「しごとをつくる」取り組み

産学官金連携による事業化支援

横浜銀行は産学官金の連携強化を通じて、地域社会の課題解決に取り組んでいます。包括連携協定を締結する国立大学法人横浜国立大学より、行員が「横浜国立大学産学官金連携コーディネータ」の委嘱を受け、課題解決に資する研究を有する大学と技術的な課題を有する法人のお客さまの橋渡し役を担っています。また、横浜銀行は産学官金連携を通じた地域経済の持続的な成長や活性化を加速するため、2022年7月に青山学院大学と包括連携協定を締結し、同年10月に行員が同大学から「青山学院大学 産学官金連携コーディネータ」の委嘱を受けました。
さらに、2023年2月には国立大学法人東京工業大学と「東京工業大学・横浜銀行連携新技術マッチング会」を開催しました。これらの取り組みにより産学官金連携の案件を発掘しています。

寄付を通じたベンチャー企業支援

当社グループは、ベンチャー企業支援を目的とした寄付をおこなっています。当社グループの横浜銀行では、公益財団法人はまぎん産業文化振興財団とともに、ベンチャー企業や研究者の持つシーズの事業化を促進する「Frontiers」を運営しており、2022年度と同様に2023年度も5社に対して総額1,300万円を寄付しました。

地域企業の販路拡大支援

横浜銀行は2021年10月より、株式会社テレビ東京コミュニケーションズ(TXCOM)および横浜振興株式会社と出資する「新商品開発支援事業匿名組合」において、地域企業の商品開発・販路拡大を支援する新たなECサイト「カナコレ」を運営しています。「カナコレ」では、地域企業のバッグや靴、クッション、スイーツ、コーヒーなどがTXCOMの持つキャラクターや番組等の知的財産(IP)とコラボレーションしたオリジナル商品を新たに開発・販売しています。