DX(金融デジタライゼーション)の推進
当社の長期的にめざす姿「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」に向けて、デジタル技術を駆使した金融・非金融サービスを通じて、地域のお客さまに新たな体験・価値を届けるとともに、高度なデジタルソリューションの提供により事業成長を支援することで、地域社会の持続的な発展に貢献していきます。
デジタル戦略
デジタル社会が急速に進むなか、ありとあらゆる情報がデータ化されてつながり、その情報を活用することによりさまざまな利便性を享受して暮らしています。
当社グループはこうした社会を最大限に活用し、お客さまに寄りそった1to1コミュニケーションによる最適な提案をおこなってまいります。また、ソリューションサービスの高度化やキャッシュレス決済の促進によるお客さまの利便性向上、デジタル化の支援、サービス提供をおこなうための人財育成に継続的に取り組んでいくことにより、新しいお客さま体験を創出していきます。

デジタル・トランスフォーメーションの推進状況
当社は、デジタル・トランスフォーメーションを推進するための準備が整っている事業者として、2022年7月に経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定されました。
当社は、グループ全体のデジタル戦略をもとに、各種施策を実施している子会社の進捗状況のモニタリングや統制をはかっています。また、子会社の横浜銀行や東日本銀行では、デジタルを通じた非対面によるお客さまの利便性向上やコミュニケーション強化に取り組んでいます。これらの取り組みにより、当社グループのDX推進指標は2.7と着実に向上しています。*
- *IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が配布する「DX推進指標自己診断フォーマット」を使い、当社にて自己診断を実施しています。

横浜銀行の取り組み
個人のお客さま |
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法人のお客さま |
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東日本銀行の取り組み
2022年12月に法人ポータル(ビジネスコネクト)を導入しました。また、RPAを活用した行内の業務効率化推進やお客さまへのIB(インターネットバンキング)の推進をおこなっています。
店頭業務のデジタル・トランスフォーメーション
次世代型店舗への移行
横浜銀行は、「クイックカウンタATM」によりお客さま自身が横浜銀行職員のサポートを受けてキャッシュカードによる入出金などをおこなう「セミセルフ窓口」を、2024年3月末までに77店舗に導入しました。今後もさらなる店頭業務の効率化とお客さまの利便性向上に向けて、本窓口の導入を進めるとともに、TV窓口の設置、次世代型営業店タブレット端末「AGENT」の高度化など次世代型店舗への移行を進めていきます。
「AGENT」では、主要取引(口座開設、住所変更、相続受付など)の開発を終え、機能改善や取引量が多いものを中心に内製化開発を進めています。2023年10月には、普通預金口座のICキャッシュカードの新規発行機能を実装しました。
また、2023年2月より5店舗で開始したテレビ窓口による相続のお手続きは、2023年10月に対象店舗を5店舗拡大し、計10店舗となりました。順次運用拡大をおこない、本部専門部署によるきめ細かいサービスの提供に取り組んでいます。

来店予約サービスの導入
横浜銀行は2023年4月に、「来店予約サービス」を全店に導入しました。本サービスは、普通預金の口座開設やお届け内容・お届け印の変更などのお取引について、スマートフォンやパソコンで横浜銀行のホームページから原則24時間365日、ご来店日時を予約することができるサービスです。予約されたお客さまは来店時に優先してお手続きいただけます。横浜銀行は本サービスの導入を通じて、お客さまの来店時の待ち時間短縮をはかっています。
非対面取引の拡大
横浜銀行は住所変更、税金・各種料金の払込み、お振込み、口座開設を中心に非対面取引の拡大を進めており、2024年3月から相続発生の届け出のお手続きをウェブサイトから受付が可能となりました。非対面取引の割合は、2024年3月末基準で41%まで増加しています。引き続き非対面取引の拡大を進めて、お客さまの利便性向上に取り組んでいきます。

非対面サービスのデジタル・トランスフォーメーション
スマートフォンアプリ「はまぎん365」の提供
お客さまとの接点が対面から非対面へと変化するなか、個人のお客さま向けに提供しているスマートフォンアプリ「はまぎん365」は最重要チャネルに成長しており、2024年3月末時点で、横浜銀行の115万人のお客さまにご利用いただいています。
2023年10月からはお客さまの好みに応じたカラーカスタマイズ機能の追加、2023年11月からはすべての機能をワンアプリ化していくため、普通預金新規口座開設の申込機能と横浜バンクカード同時申込機能を追加しました。
2024年4月には、data.ai社による「Top Publisher Awards 2024」のファイナンス部門を受賞しました。「Top Publisher Awards 2024」は、data.ai社がアプリ市場で大きく成長を遂げた企業を発表しており、「はまぎん365」の提供開始から1年で、ダウンロード数および利用者数が大幅に増加したことなどが評価され、本表彰を受賞することができました。
「はまぎん365」では、すべての機能をワンアプリ化することで非対面取引を拡充するとともに、お客さまとの1 to 1コミュニケーションの追求や日々変化するお客さまのニーズに対応した機能を追加することで、お客さまに新たな体験を創出していきます。


法人のお客さまへの非対面機能「ビジネスコネクト」の提供
横浜銀行は、2020年1月よりお客さまの利便性向上を目的とした非対面サービスとして、法人向け会員制ポータルサイト「〈はまぎん〉ビジネスコネクト」を提供しており、2024年3月末時点で4.7万社の法人のお客さまにご利用いただいています。
2022年11月からは、お客さまとのデジタルコミュニケーションの強化を目的に、インターネットバンキングの「〈はまぎん〉ビジネスサポートダイレクト」のログイン画面をビジネスコネクトに統合するとともに、新プランとして「月額無料プラン」をご用意しています。「月額無料プラン」は、即時の振込・振替(1日あたり限度額300万円以下)や税金・各種料金の払い込みが可能な資金移動サービス等を、1ユーザーまでは月額基本手数料を無料でご利用いただけます。
また、2023年12月から、決算書を紙でご提出いただく事務の削減を目的に、e-Tax申告データ受付サービス(Zaimon)を開始しました。「Zaimon」とは、お客さまがe-Taxで電子申告された税務申告データや、電子納税証明書を、お借入れのご相談等で提出する際に電子データとして横浜銀行に送信いただけるサービスです。
なお、東日本銀行においても、2022年12月から「東日本ビジネスコネクト」の取り扱いを開始しています。

地域社会のキャッシュレスの促進
横浜銀行は、スマホ決済サービス「はまPay」を通じて、2022年10月から多頻度小口決済のための新たな決済インフラ「ことら送金」に参加し、10万円以下の個人あて送金を手数料無料でご利用いただける「ことら送金サービス」の提供を開始しました。
また、「はまPay」では2023年4月から「請求書払い」において、固定資産税・自動車税等の税公金を納付できる「ことら税公金」の取り扱いを開始しています。

お客さま・地域とともに進めるデジタル・トランスフォーメーション
デジタル化支援
横浜銀行は、デジタルを通じたお客さまの業務効率化や生産性向上のサポート、各法制度対応など、デジタル化支援の強化をはかっています。
お客さまのデジタル化への課題を把握し、本部との情報共有やグループ機能連携、情報処理サービスやクラウド型労務・人事システムなど約60社のデジタル系企業と連携しながら最適なソリューションの提案・提供をおこなっています。
ビジネスマッチングのみならず、DXに関わる複合的な課題にはグループ機能を活用した浜銀総合研究所によるコンサルティングに加え、銀行本体によるクラウド型システム導入時の「導入支援サービス」の提供を実施し、経営の課題解決のサポートにも注力しています。


行内業務のデジタル・トランスフォーメーション
自動生成AI 『行内ChatGPT』の業務活用
横浜銀行および東日本銀行は、人工知能(自動生成AI)を活用した従業員専用の情報分析プラットフォーム「行内ChatGPT」を2023年11月に導入しました。
行内ChatGPTは、一般的な「ChatGPT」の機能に加え、両行における各種規程やマニュアルなど行内情報の照会に対応できる機能を備えています。従業員は文書作成などの業務の効率化*をはかりながら、より高度な業務や新たな業務に集中することができます。
今後は行内ChatGPTにインターネット検索/ファイルアップロードなど、利便性向上・機能拡充をおこない、生成AI技術を既存業務(システム)へ組み込むことで業務効率化・生産性向上に努めていきます。
- *一般的に文書作成業務などにおいて「ChatGPT」を利用した場合、利用しない場合に比べ、作業時間を37%削減することができると言われています。

営業・融資サポートシステムの導入
横浜銀行および東日本銀行は、渉外業務改革を実現する次世代SFA・CRM/融資審査システムである「営業・融資サポートシステム」を2024年1月に導入しました。本システムは、MEJAR5行による共同利用を予定しています。
本システムの導入により、多くの業務で効率化が実現できる見込みであり、削減した時間を渉外活動に充てることにより、お客さまとのリレーション強化にさらなる磨きをかけていきます。

ITインフラの高度化
勘定系システムのモダナイゼーション(オープン化・クラウド化)
横浜銀行および東日本銀行は、従来メインフレームを使い稼働していた勘定系システムを、2024年1月にオープン基盤による稼働に切り替えました。本取り組みは共同利用する勘定系システムとしては業界初となります。なお、2行合計で年間6億円のコスト削減、およびCO2排出量の削減も実現します。
また、2030年度をめどに次期勘定系システムの基盤に関して、NTTデータが構築する国内初のオープン系共同利用型クラウド勘定系システム「統合バンキングクラウド」の利用に向けた検討に着手しました。本取り組みは、2021年11月に発足した「地銀共同センター・MEJARシステム・ワーキンググループ(CMS-WG)」の一環となります。


システム全体のクラウド化
将来の勘定系システムのクラウド化を見据えて、勘定系より遠いシステムから順次クラウド化を進めています。
2024年3月末で、主要システムのうち40%のクラウド化が完了しています。

デジタル戦略実現のための体制
戦略的な投資コントロール・組織設計
デジタル戦略の実現、高度化するサイバーセキュリティリスクに対応するために、経営資源を戦略投資*1とセキュリティ投資*2に重点的に配分しています。2024年3月末時点で戦略投資は25%、セキュリティ投資は4%の投資配分をおこなっており、引き続き重点的に配分していきます。
変革と成長に資する戦略案件は積極的に投資していく一方、非戦略案件には必要最低限の機能の維持といったメリハリのある運用をおこなうために、当社主催の「システム戦略連絡会」などを活用して投資コントロールをしていきます。また、アライアンス拡大によるコストシェアも積極的に推進していきます。
なお、東日本銀行においては、営業戦略部内にデジタル戦略室を新設し、デジタルを活用した非対面取引の企画・推進を強化しています。
- *1IT・デジタルに関わる投資を変革・成長・運営の3分野に分類し、変革と成長に分類されるものを定義
- *2サイバーセキュリティに関連する施策投資を定義

人財
横浜銀行においては、組織全体のITリテラシー向上、専門人財の強化をはかるために、育成体系ごとに人財像・期待役割を定義し、計画的に採用・育成を進めています。2022年10月よりIT・デジタル推進人財の育成を目的として開始したデジタル人財育成プログラム「DXアカデミー」は、2024年3月末時点で78人の合格者を輩出しています。また、全行員のDXスキルの向上に向けて、個人のレベルに応じたコンテンツをタイムリーに学習できる「Udemy Business」を2023年8月に導入し、実務に直結するDXスキルの修得に取り組んでいます。本取り組みの結果、IT・デジタル専門人財は、2024年3月末時点で129人になりました。
今後も、横浜銀行および東日本銀行は、IT・デジタル専門人財のさらなる育成に努めていきます。
