地域企業の持続的成長

お客さまの抱える課題に真摯に向き合い、経営戦略に深く関与する付加価値の高いソリューションをグループ一体となって提供することで、地域企業の持続的な成長に貢献していきます。

中期経営計画戦略(2022年度~2024年度中期経営計画)

グループ機能・提携機能等を活用したソリューション提供

グループ機能の活用や外部事業者等との連携を深め、事業、財務、資本戦略といった経営戦略に深く関与する戦略ソリューションの提供を強化し、多様化・高度化するニーズへ応えることでお客さまにとっての第一のパートナーとして選ばれる存在をめざします。

従来型ファイナンス領域からの深化・拡大

M&Aファイナンスなど、従来の枠を超えたファイナンス領域でのアセットアロケーションを強化し、付加価値の高いファイナンス提供に取り組むことで収益力の向上をはかります。

前中期経営計画で広げたファイナンス領域をさらに拡大するとともに、本部に蓄積されたM&Aファイナンスやプロジェクトファイナンス等のノウハウを営業店へ還元・共有することでソーシング力を強化し、ストラクチャードファイナンス残高の増強をはかります。
ホームマーケットにおけるプレゼンス強化に向けてシニアローンを積み上げていくとともに、高採算アセットへのアロケーションを強化していくことで、当社収益力の向上をはかっていきます。

戦略ソリューションの提供を通じた収益力の強化

現中期経営計画では、経営戦略に深く関与するソリューションを「戦略ソリューション」と位置付け、戦略ソリューションを選んでいただいたお客さまを「パートナー先」と定義しています。融資取引先だけでなく、預金取引先や未取引法人も含めた地域企業へとソリューション提供先を広げ、ホームマーケットにおけるお客さま基盤を拡充・強化していきます。パートナー先の1社あたり収益性は高く、お客さまに選んでいただける取り組みを通じて、当社収益力の向上をはかっていきます。
法人部門収益は、付加価値の高い戦略ソリューションの提供強化に伴い着実に増加しています。

従来の枠を超えたファイナンス領域への取組強化

前中期経営計画では、従来型のシニアローンを中心とした貸出から、M&Aファイナンス等の新たなファイナンス領域へと取り組みを拡大しました。
現中期経営計画ではファイナンス領域をさらに拡大するとともに、本部に蓄積されたM&Aファイナンスやプロジェクトファイナンス等のノウハウを営業店へ還元・共有することでソーシング力を強化し、ストラクチャードファイナンス残高の増強をはかります。
高採算アセットへのアロケーションを強化していくことで、当社収益力の向上をはかっていきます。

ストラクチャードファイナンスの代表的なアセットの残高

海外拠点活用によるソリューションビジネス強化

成長地域であるアジアを中心に、国内営業店と海外拠点が一体となって、お客さまへのソリューション提供を強化しています。
具体的には、お客さまの現地法人向け貸出などのファイナンス支援を強化しているほか、海外進出支援やM&A等のソリューションを外部専門家や他地銀と連携して提供しています。さらに、非日系企業向け貸出などの海外運用案件への取り組みも強化していくことにより、収益力の向上をはかります。

取組施策

① お客さま現地法人向け貸出の増強

  • 海外支店ローン
  • クロスボーダーローン
  • スタンドバイクレジット

② ソリューションビジネスのボーダーレス展開

  • 進出支援
  • M&A
  • 販路拡大 等

③ 海外運用案件への取組強化

  • ポートフォリオの分散(国・業種)
  • ソーシング力強化(海外拠点活用)
  • 取組対象領域拡大(非日系高クレジット領域)

東日本銀行の取り組み(中小企業のトータルパートナーに向けた戦略)

「中小企業のトータルパートナー」をめざし、心のかよった「フェイス・トゥ・フェイス」の対応によって、お客さまのライフサイクルに応じた最適なソリューションを提供していきます。
また、店舗効率化や本部への業務集約を進め、経営資源を都区部に集約することによって、都区部の地方銀行として圧倒的な効率性を実現する営業体制を実現していきます。

企業のライフステージごとの支援強化

事業性評価を通じてお客さまのニーズや課題をよく理解するとともに、ライフステージに応じた課題に対するソリューションメニューを充実させ、お客さまの持続的な企業価値向上に貢献していきます。

効率的な営業体制の構築

都区部の営業人員を増員するとともに、営業店の事務を本部に集中することによって、都区部における効率的な営業体制を構築していきます。

神奈川銀行の取り組み

経営統合による期待効果

神奈川銀行におけるソリューションビジネスの強化

お客さまのさらなる課題解決に向けて横浜銀行の知見・ノウハウを共有、グループ機能を提供

神奈川銀行は、横浜銀行が有するサステナブルファイナンスをはじめとしたお客さまの課題解決に資する知見・ノウハウの共有を受けるとともに、グループ機能を最大限活用することで、多様化するお客さまニーズに対応したソリューションビジネスの強化を進めていきます。

施策例

両行間での人財交流の促進

階層別・職務別研修の共同開催

地域金融機関としての取引基盤の拡大

県内のお客さまへのサービス提供機会を拡大
それぞれが強みとする取引先セグメントへ効率的な営業活動を実践

横浜銀行は相対的に規模の大きい企業への経営戦略に深く関与する付加価値の高いソリューション提供に、神奈川銀行は中小企業への本業支援や創業支援・第二創業支援といったコンサルティングにそれぞれ強みを有しています。競合関係が少なく相互補完関係にある両行が同一グループとなることで神奈川県内における顧客基盤が拡大することに加えて、両行それぞれが強みとする領域における対面営業の強化、神奈川銀行による横浜銀行のデジタルチャネル機能の活用を通じた顧客接点の拡充を進めていきます。

施策例

法人・個人のお客さま向けセミナーの共同開催

横浜銀行関連会社との連携によるソリューション営業の深化

経営効率の向上を通じた経営基盤の強化

DXを通じて業務効率化をはかり、人的リソースを創出

資本や人財、デジタルツール等の経営資源の集約、機能の有効活用によるコスト削減等をはかることにより経営効率を向上させ、グループ総体で経営基盤を一層強化していきます。

施策例

「保証協会付融資Web申込サービス」を横浜銀行・東日本銀行とともに導入

横浜銀行における戦略ソリューション提供の具体的事例

上場企業への資本戦略ソリューション

前中期経営計画からソリューションビジネスの高度化を進め、本部直接営業所属のプロ人財を中心に、お客さまの資本戦略に資するソリューション提供を強化しています。現中期経営計画では、本部に蓄積されたノウハウを営業店へ還元することでソーシング力を強化し、資本戦略ソリューションの提供をより一層推し進めています。
ソリューション提案をおこなった上場企業取引先は、2023年度までに延べ500社を超え、ノウハウの広がりとともに、営業店による情報提供をきっかけとしてニーズが顕在化する事例が増えています。
例えば、成長戦略の実行等に向けた資金調達と、資本増強による財務健全性向上という二面の課題を抱える上場企業へは、ハイブリッドローン(*1)による財務・資本戦略ソリューションを提供しています。
2023年度には、成長投資、財務体質の強化および資本効率の維持・向上をはかることを目的としたお客さまの資金調達に際して、営業店の日々のリレーションを通じて早い段階からニーズを把握し、情報提供をおこなった結果、横浜銀行がアレンジするハイブリッドローン2件の実行が実現しました。ハイブリッドローン残高は前年度から100億円増加し、1,600億円を超えました。

  • *1
    通常のシニアローンよりも株式に近く、資本性が強い借入金。格付会社の評価によって、一定割合が資本と認められる。

中小企業への承継戦略ソリューション

経営者の高齢化や、6割を超える後継者不在率といった背景を踏まえ(*2)、地域企業の持続的成長をサポートするために事業承継支援へ積極的に取り組んでいます。融資取引先だけでなく、無借金企業等の預金のみの取引先も含め、幅広く展開しています。
例えば、2023年度は、事業承継方針が未定で、親族内承継・親族外の社内承継・M&Aのいずれの選択肢もあるお客さまに対し、提携税理士法人と連携して持株会社の活用による自社株の移転を実施しました。オーナーのご子息を筆頭株主とする持株会社を新設し、全株式を買い取ることで次世代への自社株承継を完了させて、事業承継者の選定に注力できる体制を構築しました。事業承継コンサルティング契約、株式買取資金の協力、オーナー個人の運用や相続のご相談、事業承継者の選定などのソリューション提案へとつながっています。

  • *2
    中小企業庁 事業承継ガイドライン(令和4年3月)より

横浜銀行における海外ソリューションビジネス強化の具体的事例

アジアにおける支援体制の拡充

横浜銀行の海外拠点に加え、他の団体や金融機関との連携を通じて、お客さまの海外ビジネスを支援する体制を拡充しています。
2021年11月には、京都銀行と国際業務に関する業務提携契約を締結しました。2015年より横浜銀行上海支店において連携してきましたが、本業務提携契約により、連携範囲を中国からASEANに拡大しました。両行のネットワークやノウハウを共有・活用し、より質の高いコンサルティングを提供することで、お客さまの海外事業の支援を強化しています。
2023年11月から12月、2024年2月から3月にかけて東急商業發展( 香港) 有限公司と連携して「YOKOHAMAFOOD FAIR」を香港で開催したほか、2024年3月にはインドのICICI銀行と連携して「インドビジネスセミナー&交流会」を開催しました。

お客さまの現地法人向け貸出の増強

海外支店ローンやクロスボーダーローン、スタンドバイクレジットによりお客さまの現地法人向け貸出の増強を進めています。本部・国内営業店・海外拠点の連携強化や、海外ネットワークの拡大等の取り組みを通じて、外貨貸出残高は前年度比1,000億円以上増加し、6,900億円を超えました。さらに、シンガポール支店では、海運事業者が集積し資金需要が旺盛であるというマーケット特性を捉え、日系現地法人向けシップファイナンスへの取り組みを進めるなど、ベトナムおよびタイを中心とした周辺国向けのローンを展開しています。

ソリューションビジネスのボーダーレス展開

成長地域であるアジアへ進出する取引先が3,000社を超え、M&A・新規進出・現地ビジネス拡大といった、海外ビジネスにおけるソリューションニーズが増加しています。横浜銀行では国内営業店・海外拠点が一体となったソリューションビジネスのボーダーレス展開を強化しています。
例えば、2023年度には、海外での新たなビジネスモデルの展開を模索している取引先に対して、国際協力機構(JICA)における「中小企業・SDGsビジネス支援事業」への採択に向けて、横浜銀行が検討および調査をサポートしました。事業実施過程においては、横浜銀行の行員が調査・業務従事者として参画することも評価されました。

東日本銀行におけるソリューション提供の具体的事例

創業期・成長期の企業への支援

創業間もない企業や成長ステージの企業に対して、継続的な成長を支援するため、専門家や外部業者と提携し課題解決に取り組んでいます。例えば、2023年度には、宿泊の無人化に関する事業を営む成長ステージのお客さまに対して、金融面の支援に加えて、内装工事や備品のリース取引に関するソリューションを提供しました。また、人財不足や内部統制に関する課題を解決するため、提携業者の紹介をおこなうなど、経営課題にあわせたソリューションの提供を通じて、お客さまの成長を支援しました。お客さまのニーズに合わせた幅広い紹介により、2023年度のビジネスマッチング成約件数は1,768件となりました。

成熟期の企業への支援

成熟期の企業に対する事業承継支援の取り組みを進めています。例えば、2023年度には、後継者が不在の運送業を営むお客さまに対し、第三者承継となるM&Aのソリューションを提供しました。東日本銀行が蓄積する幅広い情報や知見を活用し、「事業を存続させ、将来にわたって従業員の雇用を継続し、安心して働いてもらえる会社にしたい」というニーズを満たすお相手をご案内することで、株式譲渡の実現に至りました。また、買い手のお客さまにおいても物流部門の内製化を実現することができ、双方のニーズを満たすことができました。このような取り組みにより、2023年度は事業承継ニーズを契機としたM&Aを18件成約しました。